「嚥下(えんげ)」とは、食物を飲み込む行為を指します。普段、健康な人であればあまり意識をせずに食べたり、飲んだりしていますよね。しかし年を重ねていくと、食物を口にした際に、口腔内から喉、食道、胃に至る過程での機能が低下し、食べ物や水分を上手に飲み込めなくなってしまうことがあります。また、病気や怪我の後遺症として、嚥下機能が低下してしまうことも。このように、うまく咀嚼や嚥下ができなくなる状態を「摂食・嚥下障害」と言います。
オーラルフレイルを知っていますか?
オーラルフレイルとは?
オーラルフレイルは、口の機能の健常な状態(いわゆる『健口』)と『口の機能低下』との間にある状態です。 咬みにくさ、食べこぼし、むせ、滑舌の低下などのオーラルフレイルの症状は、身体的(フィジカル)フレイル、社会的(ソーシャル)フレイル、精神・心理/認知的(メンタル/コグニティブ)フレイルなどに代表される、高齢期に⽣じる複数の課題が重複して⽣じる“口の衰え”であり、改善可能な状態です。オーラルフレイルであると,将来のフレイル,要介護認定,死亡のリスクが高いことがわかっています。
*日本老年医学会、日本老年歯科医学会、日本サルコペニア・フレイル学会「オーラルフレイルに関する3学会合同ステートメント」より
摂食・嚥下障害がおこると、食べ物や飲み物が誤って気管に入ってしまう誤嚥(ごえん)といった症状が現れることがあります。
誤嚥が原因で「窒息」や「誤嚥性肺炎」などのリスクが高まり、食事の度に危険が伴うようになってしまうのです。
しかし、摂食・嚥下障害は、体外から見ただけでは判断ができません。そんな摂食・嚥下障害を的確に発見できる検査が「嚥下内視鏡検査」です。
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検査を行う必要性
実際に「食べ物を食べられる」ということと、機能として「正しく飲み込める」ということは別の問題です。正しく飲み込むことができていないと、誤嚥がおこる可能性があります。日本人の死因として上位に上がる肺炎ですが、高齢になるほど比率が高くなるのは誤嚥性肺炎が増えるためです。
嚥下内視鏡検査は鼻から内視鏡カメラを挿入したまま食べ物を食べていただき、口腔内での噛み具合や、嚥下の状態を確認します。摂食・嚥下障害の有無や誤嚥の有無を評価したり、安全に摂ることができる水分や食べ物の量・形状等を確認したりすることが可能です。また、嚥下の状況を分析した上で、嚥下訓練へのアドバイスや、適切な食事の姿勢などをお伝えすることもできます。
当院の嚥下内視鏡検査は、日本摂食・嚥下リハビリテーション学会の標準手順に則して実施します。
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